「古い歴史を持つ書道は…各時代の反映である。現代に生きて居る吾等には自ら現代の書がなければならぬ。」
(「書道芸術創刊号昭和8年8月」『上田桑鳩―書・現代への提言』1999年毎日新聞社刊より)
本会創設者、上田桑鳩は、明治32年(1899年)兵庫県に生まれ、昭和2年(1927年)に上京、昭和4年比田井天来の門人となった。昭和8年『書道芸術』を創刊。「現代の書を作る爲には過去の書より生まれねばならぬ。…然し復古そのものが最後でも目的でもない。此の基礎に立って古いものを現代化し、或は進んで新しく生み出すことに意義がある。」(前述著書より)昭和15年奎星会結成。「現在の書道界の大体は、まだ旧観念から脱却して居ない…純真な、そして自由に活動の出来る者の活発な動きが現在の書道界には最も必要とされる…。」(前述著書「奎星会第一回作品発表会に贈る」より)
日展、毎日展の審査員を歴任したが、昭和30年日展脱退。「私の日展観は…あらゆる主義のもので、ある一定水準以上のものが受け容れられるべきであり、そこには新旧、具象非具象いづれもが出陳され得る場でなければならぬものであって…作者は自由に創作できるものであります。…」(前述著書「日展脱退表明」より)以後も、毎日展、奎星展、海外芸術展や個展において次々と作品を発表し、昭和43年9月死去。
書をいち早く芸術として昇華させるべく陣頭に立った上田桑鳩は、若くして比田井天来に師事、知と行、感性を磨き、堂々として古法帖を渉猟網羅してその心技の極に迫り、深層を追求して、新天地を樹立したものである。
1.臨黄庭経 1931(昭和6)年2月帝国習字速成学会
2.中等新書道鑒(上・下・上級) 1932(昭和7)年9月興文社
3.師範新書道鑒(上・中・下・上級) 1932(昭和7)年9月興文社
4.楷書張載西銘東銘 1933(昭和8)年6月雄山閣
5.初学臨池関鍵 1933(昭和8)年7月興文社
6.臨隋智永楷書千字文 1933(昭和8)年9月興文社 法帖臨書「手本集成」
7.臨褚遂良行書千文 1934(昭和9)年2月興文社 法帖臨書「手本集成」
8.臨本智永草書千文 1934(昭和9)年8月興文社 法帖臨書「手本集成」
9.三体李白七絶帖 1934(昭和9)年12月玉川堂
10.楷書五柳先生伝 1934(昭和9)年12月豊栄堂書房
11.帰園田居 1935(昭和10)年1月興文社
12.楷書陶淵明読山海経之詩 1935(昭和10)年12月雄山閣
13.草書範本 1936(昭和11)年4月興文社
14.夫子廟堂碑下 1937(昭和12)年10月雄山閣
15.書道文庫・空海 1939(昭和14)年4月アトリエ社
16.唐太宗温泉銘 1939(昭和14)年5月雄山閣
17.褚遂良書哀冊 1940(昭和15)年6月雄山閣
18.臨書研究上 1940(昭和15)年11月興文社
19.天来先生碑銘 1940(昭和15)年12月温古書院
20.臨書研究下 1941(昭和16)年11月興文社
21.臨書大鑑九成宮醴泉銘篇 1942(昭和17)年10月興文社
22.臨書大鑑集字聖教序篇 1942(昭和17)年10月興文社
23.臨書大鑑孟法師碑篇 1942(昭和17)年10月興文社
24.臨書大鑑十七帖篇 1943(昭和18)年10月興文社
25.臨書大鑑李嶠詩残巻篇 1943(昭和18)年10月興文社
26.蝉の聲 1943(昭和18)年4月興文社
27.臨崧翁治河議稿 1944(昭和19)年6月駸々堂
28.桑鳩三体帖 1946(昭和21)年7月清雅堂
29.小学 習字の本(上巻・中巻・下巻) 1949(昭和24)年4月教育図書研究会
30.中学 習字の本(1年~3年) 1949(昭和24)年4月教育図書研究会
31.小學手本 1950(昭和25)年10月研精会
32.書の話(第一巻~第三巻) 1950(昭和25)年10月研精会・書道出版社(第1巻)は25年1月刊行
33.書の華(上・中・下) 1950(昭和25)年10月内山松魁堂